新しい事業を始める時に一番悩むのは資金調達ではないでしょうか?今回は資金調達する方法の一つ「融資」についてお話しします。融資とは、事業を行うために、金融機関からお金を借りることです。
さて「融資を受けたい」と思った方が1番目に頼ろうとするのは、銀行などの民間からです。しかし、創業したての頃は銀行から融資を受けるのは非常に難しいのが現状です。では、どうやって資金調達をしたら良いのでしょうか?
今回は創業時に融資を受けるのにおすすめの日本政策金融公庫を紹介します。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は財務省所管の政府系金融機関で、日本経済の発展や貢献などを目的とし、中小企業や小規模事業を支援するための事業活動を行っています。実際に平成27年度の融資実績では、約9割が従業員9人以下の小規模事業者となっています。民間金融機関のように利益重視の融資ではなく、小規模事業者に対しても積極的に融資を行っているというのが大きな特徴の一つです。(参照元:国民生活事業のご案内2016 日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫には
- 国民生活事業部
- 中小企業事業部
- 農林水産事業部
という3つの事業部があります。
創業時融資の場合は国民生活事業部が担当です。支店によって事業部がある階数が違う場合があるので、きちんと確認してから行きましょう。
日本政策金融公庫のメリット
創業時や初めて融資を受ける方は日本政策金融公庫が良いと言われている具体的なメリットを見ていきましょう。
- 政府が100%出資していて、中小企業や小規模事業者の創業を応援するのが目的
- 事業計画書の作成など、事業がうまくいくためのサポートをしてくれる
- 低金利で借りることができる
審査が通過しやすい
日本政策金融公庫は創業支援が目的の金融機関のため、創業初期の融資審査が通過しやすいという特徴があります。
利益を目的とする民間金融機関の場合は、返済能力があるかという点を重視します。そのため、実績がない創業者に対する支援は少なく、審査が通過しにくいのが現状です。しかし、日本政策金融公庫は創業者を応援・支援するのが目的なので、積極的に融資をしてくれます。
融資相談のハードルが低い金融機関のため、最初の融資は日本政策金融公庫に依頼すると良いでしょう。
金利が安い
日本政策金融公庫は安い金利で融資を受けられることが多いです。なぜなら保証協会が必要ないため、余分な手数料を支払う必要がないのです。保証協会とは金融機関に対して、借り手側の債務を保証する団体です。初めて融資を受ける際、民間金融機関で借入した場合は、ほとんどが保証協会を利用した融資となります。通常の金利の他に保証協会への手数料がかかるので、金利+手数料で3%後半から4%となるケースが多いです。
日本政策金融公庫は政府100%出資の金融機関なので保証協会を利用できません。そのため、金利のみの支払いになるので、金利が安く済みます。借入できる金利の目安は日本政策金融公庫のホームページに記載があります。金利情勢によって変化しますが、令和2年2月3日現在では1.21%~2.85%がベースとなっています。民間金融機関と比較すると安めの金利で推移しており、負担が少ないというメリットがあります。
無担保・無保証人
日本政策金融公庫は新しく事業を始める方や創業してまもない時でも、保証人なし・担保なしで融資を受けることが出来ます。銀行は利益重視のため、創業して間もない事業への融資には消極的です。特に、創業間もない頃は不動産担保や動産担保と言った自動車や船などの担保、有価証券担保などが必要になるケースも。また、担保を用意したからと言って必ずしも融資を受けられるわけではありません。
一方、日本政策金融公庫は利益ではなく、その事業が地域や社会を発展させるのかなどを重視しています。また、日本政策金融公庫では独自の審査基準があり事業を始める方への応援も兼ねているので、創業時の融資は日本政策金融公庫がお勧めなのです。
日本政策金融公庫の注意点
日本政策金融公庫から借入する際には注意しなければいけないことがあります。
- 運転資金の返済期間が短い
- 担当者によって対応が大きく異なる
- 今までの経歴を重視される
返済期間が短い
民間金融機関の場合は20年以上設定できるケースも少なくないですが、日本政策金融公庫は融資期間が短めに設定されており、融資期間が最大でも10年、短い場合は7年しかありません。
- 融資期間を長めの期間にしたい
- 自己資金が少ない
という場合、日本政策金融公庫はあまりおすすめできません。ですが、制度資金を利用できれば最大20年の融資を受けることが出来ます。
制度資金なら最大20年に
日本政策金融公庫には制度資金という借入があります。制度資金とは特定の条件に当てはまった人に対して、良い条件で融資する資金です。日本政策金融公庫には若者、女性、シニア起業家支援資金があり、「女性・35歳未満・55歳以上」のいずれかを満たす場合で新たに事業を開始する人に対して最大20年間の期間で融資する資金です。
制度資金を活用することで最大20年に融資期間が設定できる可能性があるので、条件に当てはまるかどうかを調べ、制度資金を申し込むと良いでしょう。プロに聞いているのもよいでしょう。
担当者ごとに異なる
担当者によって対応が大きく異なるというのも日本政策金融公庫での注意点です。
- 融資が実行されるように、積極的に動いてくれる熱心な担当者
- 融資に消極的で、あまり動かない担当者
など様々な担当者がいます。提出書類や事業計画などに問題なくても、担当者との相性が悪く、融資が通過しなかったというケースも少なくありません。このような場合は、時間を空けて再度融資の申請に行くことをおすすめします。なぜなら、日本政策金融公庫の担当者は2〜4年で異動になることが多いからです。
もし、融資に消極的な担当者が付いて融資審査に通過しなかった場合は、担当者が変わるタイミングを見計らって、再度融資を依頼してみましょう。特に4月は人事異動が多いため、審査が否認した翌年や翌々年の4月以降に再チャレンジしてみましょう。
また、もう一つの手段として日本政策金融公庫と繋がりのある方に同席してもらいましょう。そうすれば、あなたと担当者の相性が悪い場合でも、同席してくださる方の今までの実績などにより担当者よりも上の人との信頼が築けます。
今までの経緯を重視される
日本政策金融公庫は、創業の動機や今までの経歴に則っているかを重視されます。そのため、事業を行いたい目的や動機がうやむやだったり、今までしてきた事と全く関係ない事業を始めるとなると融資が通りずらいです。
また、事業がどれだけ長く続くかや、今後の事業の計画に信憑性があるのかを重視するので
- 事業を長く続ける意思がある事
- どのように利益をあげるのか(具体的に)
- 客観的で信憑性がある計画ということ
という3点はきちんとアピールしましょう。
日本政策金融公庫から融資を受けやすい人
結論から言うと、日本政策金融公庫で融資を受けるのは簡単ではないです。銀行より融資が受けやすいとはいえ、融資を受けられる確率は50%~60%と低い数字が出ている時期もあります。
日本政策金融公庫は新しく事業を始める人を応援していますが、誰でも融資を受けられるわけではありません。事業計画を完璧に作るのはもちろんのこと、個人の信用情報・自己資本比率、あなたの人柄や性格までトータルで判断されます。
「新しい事業を始めたいから、融資を受けよう!!」と思っても、個人での借金が滞っている場合や、クレジットカードの支払いの滞納、家賃の滞納などがあると審査が通りずらくなります。
ですが、日本政策金融公庫は他の金融機関と比べると融資を受けやすいといえます。
たとえば銀行で融資を受ける場合は、今までの事業実績を見られます。そのため創業当初に融資を受ける場合、銀行の基準をクリアして融資を受けることは非常に難しいです。特にこれから事業を始めるための創業資金を借りることは非常に困難です。
一方、日本政策金融公庫は新しい事業に積極的なので、創業計画書に信憑性があり面談などの対策をすれば、融資を受けることはそこまで難しくはありません。
審査に通過する人の特徴として以下のような点をあげることができます。
- 事業計画がしっかりとできている人
- 創業前の職業と創業する事業に関連性がある人
- 資金繰りや返済に問題がないと判断される人
日本政策金融公庫の審査に通過できる人の3つの特徴について詳しく解説していきます。
事業計画がしっかりとできている人
日本政策金融公庫の融資では、創業計画書という書類を提出しなければなりません。
この書類では、以下のような内容を日本政策金融公庫の担当者が納得できるように記載する必要があります。
- 創業の動機
- 経営者の経歴(略歴)
- 取扱商品・サービス
- 取引先
- 従業員数
- 借入状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し など
↑の内容を具体的にわかりやすいように記載し「この事業に融資をするべきだ。事業で利益を上げて、事業を継続し返済していくことができるだろう」と判断されなければなりません。
事前に「何をどこに売って」「いくら稼ぐのか」「必要な経費はいくらか」などの事業計画をしっかりと立てましょう。当たり前のことですが、事業計画が無計画だったり、信憑性がなければ融資してもらうことは不可能です。
創業前の職業と創業する事業に関連性がある人
融資を受ける際に、創業前の職業とこれから行う事業の関連性が重要になってきます。
例えば、「これまでシェフとしてレストランに勤務していた人が独立して、新しくレストランを開業する」という場合、創業前の職業とこれから行う事業に関連性があるので融資の審査に通過しやすくなります。
一方、普通のサラリーマンや事務職のOLだった人が、「パスタが好き」という理由でパスタ屋を開業する場合は、創業前の職業とこれから行う事業に関連性がないので、融資の審査を通過するのは難しくなります。
融資の審査の際、「これから行う事業への情熱」を伝えることが重要になりますが、どれだけ「パスタが好き」という情熱を伝えたとしても、それだけで融資の審査を押し通すのはかなり無理があります。
日本政策金融公庫の融資審査を通過するためには「今までこの業界に関わってきて、利益の出し方やお客様のニーズ、人脈や卸業者など、業界のことを熟知しておりこれから行う事業に問題がない」と判断されなれければなりません。そのため、創業前の職業とこれから行う事業に関連性のある業種であることが非常に重要になるのです。
資金繰りや返済に問題がないと判断される人
「いくら売って」「いくらの経費がかかる」という事業計画も審査では非常に重要ですが、それ以上に重要なのは資金繰り計画です。
資金繰りとは、「いくら会社に入り」「いくらの支払いがあり」「どれだけの現金が会社に残るのか」というお金の流れをコントロールすることを指します。会社に入ってくるお金は売上を上げないと入ってこないので未確定ですが、支払いに毎月いくらの現金出ていくのかは事前に正確に知ることができます。支払いに毎月いくらかかるのかを正確に把握し、運転資金が不足しないように、正確な数字に基づいた資金繰りの計画を提示できるようにしましょう。
資金繰りの計画がしっかりと説明できれば、「融資の返済に問題はない」と判断されやすくなるので融資の審査に通過しやすくなります。
日本金融政策公庫で融資を受けよう
今回は、日本政策金融公庫から融資を受ける時に最低限必要なこと・アピールすべきことをお伝えさせて頂きました。これを全てご自身で準備をするとなると、膨大な時間と労力が必要になってしまいます。
ましてや、創業間もないころはお一人で行われていることが多いので、社長の時間を取られてしまって売上が上がらない…。なんてことになりかねないです。また、ご自身で全て行うとなると融資の審通過率は下がります。なぜなら、ご自身でどれだけ調べて、どれだけ準備をしても担当者との相性が合わなければ融資の審査を通過できません。
そんな時は、専門家にお願いするというのも一つの選択肢として良いでしょう。専門家にお願いすれば、時間や労力は最低限ですみますし、融資の審査を通過できる可能性も格段に上がります。
弊社では融資を200件以上手掛けてきた融資のプロが在中しております。また、マーケティングや今後の事業の展開の方向性などはプロのマーケターが一人ひとりに合った最適なご提案を致します。
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